Tuesday, July 11, 2006

いなくなった

いなくなった
瞬く間に

庭におかれた椅子
使い終わったろうそく
飲みかけの酒瓶
飲みかけのぺリエー
テーブルの薔薇は数を減らし
今は短い茎にただ一輪
外は半月

赤い木苺が黒く熟した
花の名を尋ねられて
答えに困った紫てまりが
空にむかって二つ咲いた
いなくなってから咲くなんて

庭におかれた椅子
使い終わったろうそく
飲みかけの酒瓶
飲みかけのぺリエー
テーブルの薔薇は消えた
外はもう満月

木々の影は刻々と動いているのに
私は椅子から動けない
飲みかけのぺリエー
もう飲めやしないのに
まだとっておくなんて

夜露を含んだ風が顔をなぜる
Unchain My Heart
の歌が聞こえてくる

So unchain my heart,
please, please set me free

Monday, February 13, 2006

春の影

青い空に黒い星
吸い込まれて春の夢
ブラック ホールに
白い粉舞う
阿片、コカイン
散る桜

黒い雲が流れる
小粒の光が
ぽつぽつと
切れ切れに

がげろう
ゆらゆら
大地が笑う

黄色、桃色、紫の
小さな星が
野原にこぼれて

はるる、はるると
ひばりがさわぐ
食べるぞ、食べるぞ
腹いっぱい

白い飛行機が
黒い星に向かって
姿を消した
飛行機雲だけ
真っ白に残った

春の精が逝って
春の花が残り
恵みを吸った
春爛漫のカーニバル
万物は春だ、春だと
ゆらゆら踊る

春に寄せて

若草のゆらゆら萌ゆる道の辺に去年(こぞ)の形見の猫じゃらしかな

梅の蕾雪残れどもおそれずに三つ四つ五つと春風にキス

朝霧に桜の花の浮かびたる素足濡れなん春の野の原

梅一輪ウオーターボトルに海めざせば蕾ふくらむ昼のドライブ

梅一輪空に差し伸べ太平洋海のかなたの友に見せなむ

命食みまた命食み消え逝くを春の息吹と人の言うらむ

春冷えに行商の老婆たいやきを食べろと差し出す強き指かな

Sunday, February 12, 2006

朝のデッサン

枯れ木のかえでの並木道
汽車が止る

コーヒー屋から
カプチーノのたぎる音

トラックが地なり響かせ
パンの香り残して
走り出す

足早の男
コーヒー片手の女
自転車で音もなく
過ぎ去る若者
地面を見るホームレス
犬連れた老いた女
ベンチのわきに
シクラメン

前しか見ない人
戻るしかない人
足音なくした人
木の芽隠す枯れた枝

汽車がまた止った
コーヒー屋のおじさん
ふりむいて
めがねが光った
今日一番の朝日だ
おはよう!

Monday, January 30, 2006

早咲きの水仙

「瑞泉寺と鎌倉霊園」
のタイトルの友人のエッセイ。
夢の途中 2

淡々とした語り口に、古い仲間との再会が果たせないまま逝かれてしまった悔恨がにじみでている。

<エッセイより>
「昨日、1通の手紙が届いた。不思議なことがあるものだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あの日、瑞泉寺に連れて行ってくれたのは彼だったのだ、
未だ早い水仙の花を見せてくれたのも・・・・。」

燻し銀のような作品への返歌一つ

水仙の花に身を借り呼ぶ友に
酒もて会わん鎌倉の山

Saturday, January 21, 2006

小包

ある朝
窓を開けると
白い冷たい霧が
風のようにしのびこむ
霧のにおいが胸の中まで
なにかが騒ぐ

飛行機がたしか
遠くの森で落ちたはず
野火の炎が
揺れながら
ひたひたと
霧の中から
押し寄せる
焼けた翼のかけらが
ゆっくりとこちらに
..と思ったとたん
パチっと
胸の奥に突き刺さった

波紋が広がる
心の海には
とりのこされたおもちゃが
いっぱい浮かんで
どうしよう、どうしようと
寄っては離れ、離れては寄って

ブリキの車
ぜんまい仕掛けのバレリーナー
汽車の線路
数のないトランプの
月夜に踊るウサギのダンス

どうしよう、どうしよう
オレンジの炎がやってくる
焦げた雲を従えて
オレンジの炎がやってくる

いそがないと、いそがないと
ひとつひとつを箱に入れ
宛名のない小包が
波に浮いたり沈んだり

棲む家なくした思い出の
ブリキの車は 白菊に
バレリーナーは コスモスに
汽車の線路は 月見草
ウサギのダンスのトランプは 
黒い沼の水芭蕉

焼けた翼のかけらは 
たんぽぽにでも送ろうか
季節が過ぎたら
綿帽子にのって
再びそらを飛べるから

心からっぽ
手のひら からっぽ
塩辛い海の水が
体を走り
指先まで流れ込む
黒潮の香り
海から届いた
旅立ちのインビテーション

あれは今朝のことだったのか
それとも遠い昔のことだったのか

Wednesday, January 18, 2006

Misty rain

Misty rain embraces your heart
Lives are gone into the misty sky
You miss them so much and wish them be back
But no one could stop them to leave

Misty rain's falling on your shoulder
A tear drop's touching your heart
Lives will never come back, yes! you know
But no one stop you to remember them

Misty rain joins your tears
Sending tears to your missing ones
Lives will reborn somewhere near to you
But no one predict when it'll happen

Misty rain embraces missing ones
Lives are surrounding around you being with you
Just you can’t see them with your misty eyes
But no one can say they’re not here

You feel the magic in the rain
You feel missing lives in the rain
Misty rains and misty eyes
You feel full of love and full of lives
in the misty rain and in your misty heart

霧もやの雨が心を包む
命は散った、霧もやのかなたに
再び手の中に
この手の中にもどっておくれ
でもそうだね
あの子たちが逝くのを
誰もとめられりゃあしなかったんだ

霧もやの雨が肩を濡らす
涙の粒が心を濡らす
命は戻って来はしない
そうだね、きっと
でもあの子たちの思い出は
誰も消すことはできないんだ

霧もやの雨が涙になった
雨よ、この涙を運んで伝えておくれ
生まれ変わり死に変わり
どこかでまたあえるから..と
でも、それがいつかは
誰も知ることはできないんだ

霧もやの雨はあの子らを抱く
命はそこにあそこに、すぐそばに
涙でかすんで見えないけれど
そう、あの子たちがいなくなったなんて
誰も言えやしないんだ

霧もやの雨に不思議が起こる
雨の粒は命の粒、両手いっぱい落ちてくる
霧もやの雨と涙の瞳
あふれる思いに注ぐ命の粒は
霧もやの雨の中に
あなたの心の中に

雪便り

雪便り冬野の光顔に浴び 梅の笑み咲く加州の初春

Friday, January 06, 2006

Happy New Year

あけましておめでとうございます。

新雪に足跡消して去年(こぞ)は過ぎ
光まぶしき雪えくぼかな

地に残る青き春野の鍬の跡
新芽顔出せ雪えくぼかな

地にねむる友の便りか雪えくぼ