Tuesday, October 04, 2005

水の香りの秋の朝

秋の朝は
薪の煙のはぜる音
じゃわじゃわじゃわ
ごはん煮え
しゃしゃしゃと
かつぶしを
とんとんとんと
大根を
井戸をぎこぎこ
汲み出して
水のかおりの
秋の朝

あれから
いくつも秋が来て
あれから
いくつも朝が来て

秋の朝は
煙草の煙を点ける音
がりがりがりと
豆削り
しゅわしゅわしゅと
コーヒーを
シャーシャーシャー
シャワー浴び
冷たい空気に
ほほそまる
お湯のかおりの
秋の朝

あれから
いくつも秋が過ぎ
あれから
いくつも朝が過ぎ

秋も知らずに
冬になり
朝も知らずに
夜になり

疲れた体
横たえて
秋を恋い
朝を恋い
浅い眠りに
虫の声

あれから
いくつも秋が逝き
あれから
いくつも朝が逝き

なにもない
秋の朝
異国の空に
ただ一人
冷たい空気に
耳澄ます
目を閉じて
聞こえてくるのは
かおるのは
遠い昔のふるさとの

あのふるさとの
秋の朝
じゃわじゃわじゃわ
しゃしゃしゃ
とんとんとん
ぎこぎこぎこ
水のかおりの
秋の朝

井戸の匂いの
秋の朝
薪の煙のはぜる音

One early morning in emerald Hills