Saturday, January 21, 2006

小包

ある朝
窓を開けると
白い冷たい霧が
風のようにしのびこむ
霧のにおいが胸の中まで
なにかが騒ぐ

飛行機がたしか
遠くの森で落ちたはず
野火の炎が
揺れながら
ひたひたと
霧の中から
押し寄せる
焼けた翼のかけらが
ゆっくりとこちらに
..と思ったとたん
パチっと
胸の奥に突き刺さった

波紋が広がる
心の海には
とりのこされたおもちゃが
いっぱい浮かんで
どうしよう、どうしようと
寄っては離れ、離れては寄って

ブリキの車
ぜんまい仕掛けのバレリーナー
汽車の線路
数のないトランプの
月夜に踊るウサギのダンス

どうしよう、どうしよう
オレンジの炎がやってくる
焦げた雲を従えて
オレンジの炎がやってくる

いそがないと、いそがないと
ひとつひとつを箱に入れ
宛名のない小包が
波に浮いたり沈んだり

棲む家なくした思い出の
ブリキの車は 白菊に
バレリーナーは コスモスに
汽車の線路は 月見草
ウサギのダンスのトランプは 
黒い沼の水芭蕉

焼けた翼のかけらは 
たんぽぽにでも送ろうか
季節が過ぎたら
綿帽子にのって
再びそらを飛べるから

心からっぽ
手のひら からっぽ
塩辛い海の水が
体を走り
指先まで流れ込む
黒潮の香り
海から届いた
旅立ちのインビテーション

あれは今朝のことだったのか
それとも遠い昔のことだったのか

2 Comments:

Blogger urax said...

腕あげてるねえ。

> 数のないトランプの
> 月夜に踊るウサギのダンス

なんてあたしが欲しかった。
そのうち盗作、じゃなかった
フィーチャーさせてもらおっと。

6:37 AM  
Blogger Map said...

おかげさまで。
みゅー太郎氏にも見ていただき、貴重なアドバイスをいただきました。Fuko氏、パブロ氏にも時々みていただき、「無帰答」か「コメント」かで書き直したりしてます。
今回は日ごろ見ている貴兄の影響がでているなーと思ったところです。
「..なんてあたしが欲しかった。..」なんて大恐縮。どこかで使っていただければ、光栄この上なくぺっこりこんざます。

9:47 AM  

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